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2008年07月16日

時効との戦い 捜査当局

<「時効」よ止まれ>壁に挑む捜査当局 「逃げ得」許せない
          7月16日0時37分配信 毎日新聞



 「地検は、時効を完成させる手続きだけをやればいいのか」。98年冬、青森地検。検事正が弘前支部長の若手検事に問題提起した。

 83年6月に青森県車力村(現つがる市車力町)で、お年寄りの女性(当時73歳)が殺害された。
県警は3日後には、女性の養子で調理師の男(同42歳)を全国に指名手配した。
しかし、男は事件直後JR青森駅で目撃されたのを最後に、時効半年前になっても足取りが途絶えていた。

 検事は、男を所在不明のまま起訴し、時効の成立を阻止する秘策を検討した。
刑事訴訟法254条は、公訴提起(起訴)で時効は停止すると定めている。
しかし、起訴状が2カ月以内に被告に届かなければ、再び進行を始める。
つまり、その間に逮捕できれば、時効の壁を突破できる。

 検事は県警に、容疑者が確実に逃亡していることを確認するよう要請。
 (1)運転免許証の書き換えに来ていないか
 (2)住民票を異動していないか
 (3)知り合いに連絡が来ていないか
−−など再捜査させた。

 しかし、生きているという情報はなく、起訴はできなかった。
検事は当時を振り返り、
 「試しにやったわけではない。本気で起訴しようと思った」
と残念がった。

 起訴を繰り返して、時効を長期間停止させる捜査手法は、殺人ではほとんどないが、有罪に追い込む証拠が確実な脱税事件などでは、「逃げ得」を許さないために使う場合がある。
前橋地検は99〜07年の8年間に、健康食品販売会社社長を約3億3000万円の法人税法違反(時効5年)の罪で43回も起訴。
長崎地検佐世保支部も96〜01年の5年間に、元衆院議員秘書の女を公職選挙法違反(買収、時効3年)罪で27回起訴を繰り返し、いずれも最終的に容疑者を発見し逮捕にこぎ着けた。

  □  □

 90年12月に札幌信金職員だった生井(宙恵みちえ)さん(当時24歳)が殺害された事件で、北海道警は生井さんの高校の2年後輩だった男(39)を指名手配したが、05年に時効が成立した。

 母親の澄子さん(72)は昨年9月、「この男が殺害に関与したことを裁判で証明したい」と民事裁判を起こし、約7500万円の慰謝料の支払いを認める勝訴判決を受けた。

 「時効になった後、札幌西署の刑事さんが入れ代わり立ち代わりで『民事が残っているよ』と励ましてくれた。生きる希望になればと考えたと思う」。澄子さんは感謝する。

 「本当は、刑事で容疑者をやっつけたかった。でもそれができなかった。せめて民事の判決で、あの男を犯人と認めていただきたいと。今はそれができて肩の荷が下りた気がしています」【石丸整、芳賀竜也】

タグ:時効
posted by ちゃえ at 09:04| 東京 霧| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース&社会問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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